ウィキペディアタウンという名のローカルウィキ潰し(ウィキペディアタウンというなのローカルウィキつぶし)とは、ウィキペディアが「ウィキペディアタウン」という美称の下で進めている、ローカルウィキを潰すためのウィキペディアの宣伝・普及施策である。ウィキペディアが、ボランティアの名を借りた、節操のない金儲けを目的とした団体であることがよくわかる施策でもある。

特筆性

もともとウィキペディアには、「特筆性」という記事立項の基準があって、公刊されている典拠資料によって第三者の言及が確認できるなどの「特に記事にする理由」が無い記事は、書かないことになっている。

だから例えば、全国津々浦々の字名を網羅するように記事を立項しようとか、全国津々浦々の寺社の記事を全部立項しよう、というような試みは、不可とされて、多少中身のある記事であっても、「記事の乱立」のようなレッテル貼りをして、削除されてきた。

グループ編集の禁止

またウィキペディアでは、ウィキ外でグループを組織して、ウィキペディアの特定の記事に関して、そのウィキ外のグループの主張を優先させるよう、集団で行動するようなことは禁止されている。

なぜそのようなルールが必要なのかは、宗教関連の記事について考えてみれば、自明である。或る宗教の教祖の記事に関して、その教団の信者が束になって編集をしたり、議論をリードしたりしたとき、フリーランスやボランティアの個人の意見が通る余地は無い。

このことは現状のウィキペディアの内容の中立性・信頼性を歪める原因にもなっている。グループ編集の禁止はルールとしてはあっても、実態としては現状でもないがしろにされている。そのことは既存の問題として報告されており、しかしウィキメディア財団は、その問題を解消する有効な手立てを講じることができていない。場当たり的に、グループ編集をしたユーザーアカウントを投稿ブロックにするくらいのことしか出来ていない。

ウィキペディアタウン

ところが、近年、ウィキペディアは、「ウィキペディアタウン」と称して、ローカルなコミュニティにウィキペディアの記事の執筆を促し、些細なことでも構わないから地域の人を集めて皆で編集しましょう、というイベントを催している。これは上記の「特筆性」の原則にも、「グループ編集の禁止」のルールにもそぐわない。

例えば地域の人たちが、地元の図書館にしか置いていないようなローカルな資料、自分たちの間だけで通用しているようなローカルな名称やローカルな歴史を主張して記事を書けば、純粋なアナニマス(匿名不特定多数、フリーランスやボランティアの個人)の意見が通りにくくなることは、宗教団体の例と変わりがない。ウィキペディアタウンは、自らルール違反を促進しているようなものだ。

ローカルウィキ潰し

ではなぜウィキペディアは、自ら根本的な原則としていた、「特筆性」や「グループ編集の禁止」に反するような施策を推進しているのだろうか?

ローカルウィキを利用し始めて気付いたのは、それが「ローカルウィキ潰し」になる、ということである。ローカルウィキの場合、最初からローカルなコミュニティが、ローカルなルールで運営する前提になっているため、ウィキペディアでは書くことの出来ないローカルで主観的な特筆性の無い記事でも立項することが出来る。

ローカルウィキの編集方針は、ウィキペディアの原則・ルールにそぐわないのだから、不要なものと割り切って静観していることも出来るはずだが、なぜかウィキペディアは、自らの原則・ルールを破ってでも、ローカルウィキの範疇に入るような記事まで、自己の内部に取り込もうとしている。換言すれば、ウィキペディアは、節操もなく、代替的なウィキが発達することを阻害しようとしている。

ボランティアの名を借りた金儲け

なぜ自らの原則・ルールを破ってでも、拡張主義的な施策をとるのかといえば、それはウィキペディアが、ボランティア精神に支えられた崇高な理想を実現するためではなく、ボランティアの名の下に、原稿料も支払わず、匿名不特定多数にタダで書かせた記事をコンテンツとして利用することによって、金儲けをするため、であろう。

近年、ウィキメディア財団の職員が、高額な給料や退職金を受け取っていたことが話題となっているが、Googleの検索結果上位に表示されるようなウェブサイトであれば、相応に注目度も高く、そのコンテンツに金銭的な価値が生じることは自明である。財団(職員)もそのことを自覚していて、しかし記事を執筆する人間にはビタ一文支払わず、自分たちの給料だけを収益力に見合った価格帯に設定しているのである(コンテンツがバカ売れしているが、ライターの取り分が0割で、編集者の取り分が10割の出版社のようなものである)。

ウィキペディアタウンに参加してはいけない

ウィキペディアタウンは、ウィキペディアの原則・ルールに反した、ローカルウィキ潰し、ひいては自らのサイトを利用した金儲けのために催すイベントであるから、執筆料も支払ってもらえない個人が、「ボランティア」という言葉の響きに惑わされて、これに協力すべきではない。

公正中立を旨とする、図書館などの公の機関が協力するなど、もってのほか、である。ウィキペディアは、ボランティアの名を借りていても、実態としては営利を目的として行動している私的な団体であり、そのコンテンツの内容も、現状既に抱えている問題から、中立性の観点からみて問題含みなものが多く、公的な情報が確保しておくべき正確さ、信頼性は、その原則・ルールの存在によっては、担保されていない(実態は原則・ルールから乖離している)。

ローカルウィキの編集に携わる人は、ローカルウィキの発展・存続を期待するのであれば、各々のサイトの役割・範囲を明確に区分して、検索結果で競合するような相手の専横を助長するようなことは、厳に慎むべきであろう。と私は考える。なお、本文はLoJの公式見解ではなく、執筆者の私論であることを申し添える。

2022年9月29日識