幅の広いコンクリートの階段が貞山堀にむかって降りて行くところがあります。仙台空港のすぐ近く、貞山堀の対岸に東北大学ボート部の名取艇庫からボートを水に降ろす階段。頑強なコンクリートの建物は堀の海側にこの一つだけ。釜北の民家などが全て流された中で、無傷の下増田神社とともに、傷を負いながらも残った貴重な建物です。部員は別の場所で合宿中だった為に無事で、直後の大会にも出場しました。

 


 「震災から3、4日してボート部の屋上のぼって町をみたらスゲー悲惨でした。陸はスゲー事なってんのにやたら海だけは穏やかできれいだった事をおぼえています。津波の後、ほんときれいなんすよね、海。貞山堀でよくハゼ釣ってから揚げにして食った事思い出しました。ハゼがくそでかくてうまくて あ~またやりてえ~な」と、こんなことを話してくれた青年がいました。